乳酸菌とは?

「乳酸菌」とは乳酸を生成する細菌を指す一般名称です。乳酸菌は1種類だけではなく、多数のタイプの「乳酸菌」が存在します。

乳酸菌のなかでも、腸などの消化管や膣内に常在して、健康維持に貢献するものは、プロバイオティクス(善玉菌)と呼ばれています。

乳酸菌の力を借りた乳酸発酵は、数千年前から人類が利用しているもので、身近には沢山の乳酸菌製品があります(例:乳酸菌飲料、ヨーグルト、チーズ、味噌、醤油、清酒、ワイン、パン)。

乳酸菌はこれまでは腸内細菌としての効果のみが強調されてきましたが、近年、外国では女性特有の問題(例:おりもの異常、細菌性膣炎)の対策として、乳酸菌が積極的に利用されるようになってきています。

これまでは腸内細菌としての効果のみが強調されてきましたが、近年、諸外国では細菌性膣炎の治療に乳酸菌が積極的に活用されるようになってきています。

乳酸菌製品の種類

大きく分けて以下の二つがあります。

プロバイオティクス

乳酸菌含む製品です。
ヨーグルトやドリンク剤等。

プレバイオティクス

これは、乳酸菌そのものではなく、乳酸菌を増加させる栄養素であるオリゴ糖などの栄養素を含む製品です。

近年、オリゴ糖で便秘解消効果が示されていますが、これはオリゴ糖を栄養素とする乳酸菌が増殖することで、腸の動きが改善され、その結果、便秘に効果が現れたものです。

そのため、乳酸菌とオリゴ糖を併用することが理に適っていると言えるのです。

私達の身体と微生物フローラ

「腸内細菌」という言葉は、日常的に使用されており、腸内に多数の細菌が存在することは、広く知られています。

そのような腸内細菌の役割は、以下の通りです。

  • 食物の分解(炭水化物や脂肪酸)
  • 栄養素への変換(プロピオン酸、酢酸塩、ブチラート、ビタミンB、ビタミンK)
  • 解毒作用、胆汁酸の分解
  • 悪玉細菌の増殖抑制

腸内にある善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れると下痢に代表される様々な症状が現れます。

細菌フローラの崩れと病気

腸内細菌に加えて、皮膚や口腔内といった場所にも特有の細菌フローラが形成されています。

例えば、皮膚の細菌フローラが崩れるとニキビや皮膚の感染症が起こりますし、口腔内の細菌フローラのバランスが崩れると口内炎や虫歯といった日常的に遭遇する病気になります。

また、腸内細菌が乱れると下痢、栄養不良、易アレルギー、易感染症、免疫異常等といった様々な病気との関係が示唆されています。

同様に、膣内フローラが崩れた場合には細菌性膣炎に代表される感染症が発現したり、おりもに異常(匂い、量)が現れます。

さらに、細菌性膣炎は早産、新生児の低体重症などの原因となることが示されています。

乳酸菌の投与経路:胃酸の影響

通常のサプリに含まれる乳酸菌は「裸」の状態です。
そのため、摂取しても大部分の乳酸菌は胃酸の影響で死んでしまいます。

最近の研究では、死んだ乳酸菌でもそれらが分解されて栄養素となったり、免疫系を活性化させることで、何等かの健康効果が得られるとの報告があります。

しかし、その場合、摂取した乳酸菌の効果だけしか期待できません。

腸内には100兆個もの細菌がいると言われています。
その一方、食事で摂取できる乳酸菌数には限界があります。
(例:ヤクルト1本で150億=0.015%)

そのため、乳酸菌が生きたまま腸に到達し、そこで増殖するならば、乳酸菌の数もぐっと増えて、より大きな効果が期待されます。

一方、膣の健康を維持するために乳酸菌を用いる場合、二つの投与方法があります。

一般的なものは膣内にカプセルを挿入する方法です。
この方法では、生きた乳酸菌を直接届けることが出来ます。

最近では、経口型の乳酸菌も開発されています。
経口型のものは、胃酸の影響を受けないように、特殊な加工がなされています。

女性の膣内に生息する乳酸菌(デーデルライン桿菌)

デーデルライン (Doderlein) 菌とは、健康な女性の膣内に生息する多数のグラム陽性桿菌を指します。

デーデルラインとは発見者の名前で、ラクトバシラス属に属する細菌を主に指しています。

これらの菌が産生する乳酸によって膣内のpHは酸性に保たれ、それにより他の病原細菌の増殖が抑制されます。

このように、乳酸菌は、膣の自浄作用の機能を果たしており、健康状態を保つために重要な役割を担っています。

乳酸菌療法の位置づけ(標準療法との関係)

標準療法とは、有効性と安全性が確立された治療法のことです。

細菌性膣炎の分野では、抗生物質のクロラムフェニコール(クロマイ膣錠)などがあります。

細菌性膣炎以外では、カンジダ症に対するフルコナゾールやクロトリマゾール、トリコモマス症ではメトロニダゾールなどがあります。

ここで紹介する乳酸菌療法は、海外では標準療法の一つになっていますが、日本では残念ながら広く認知されていません。

一方、乳酸菌の研究は、酪農業が盛んな欧州が中心です。

乳酸菌を用いた臨床試験も主に欧州で実施されており、欧州では多数の製品が販売されています。

また、米国においても乳酸菌療法は、近年、注目を集めており、世界的に有名なメイヨー・クリニックでは、エビデンスレベルの高い治療法として積極的に推奨されています。

女性用乳酸菌の使用方法

通常のサプリに含まれる乳酸菌は「裸」の状態です。

そのため、摂取しても大部分の乳酸菌は胃酸の影響で死んでしまいます。

一方、死んだ乳酸菌でもそれらが分解されて栄養素となったり、免疫系を活性化させたりすることで、何等かの健康効果が得られるとの報告があります。

しかし、その場合、摂取した乳酸菌の効果だけしか期待できません。

そのため、乳酸菌が生きたまま腸に到達し、そこで増殖するならば、乳酸菌の数もぐっと増えて、より大きな効果が期待されます。

膣の健康を維持するために乳酸菌を用いる場合、二つの投与方法があります。

  1. 膣内への乳酸菌カプセルの挿入
  2. この方法では、生きた乳酸菌が直接届けられるため、即効性が期待されます。

  3. 乳酸菌の服用
  4. 経口タイプのものは、胃酸の影響を受けないように、特殊な加工がされており、デリケートゾーンを介して、膣内に移動します。

Q&A

桿菌、球菌とは?

これは細菌の形態(外形)を表現したもので、顕微鏡で細菌を観察した場合、細長い棒状に見えるものは桿菌(かんきん)と呼ばれ、丸い形をしたものは球菌(きゅうきん)と呼ばれます。

どちらかの形態がよいということはありません。

桿菌としては、ラクトバシラス属やビフィドバクテリウム属など。
球菌としては、エンテロコッカス属、ラクトコッカス属、ペディオコッカス属、リューコノストック属など。

細菌との共生は、何を意味しますか?

細菌の重要性を考える上で、ヒトではなく動物を見てみたいと思います。

動物は大まかに草食動物と肉食動物に分けられますが、前者の代表はウシやヤギといった反芻(はんすう)動物です。

それらの動物は胃が異常に発達しており、ウシには胃が4つに分かれており、一番大きな第一胃は実に200L近くの容積があります。

その中にそれこそ無数の細菌が生息しており、ウシが食べた草類を発酵により、栄養素に変換します。

一方、ウマは非反芻類動物で、ウシの第一胃に相当する器官は、結腸(大腸)です。

馬の大腸の大きさは約70-80Lと言われています。

ウシと同様に細菌により多くの栄養素が産生されており、馬のあの大きな隆々とした筋肉質の身体をエネルギーの観点から支えています。

一方、ヒトは雑食性でウシやウマのような巨大な胃や結腸はありません。

しかし、腸の全長に渡って細菌が生息しており、細菌数は、ヒトの全細胞の10倍以上と推定されています(1014個)。

このように多数の細菌による食事の分解および発酵作用がなされており、腸内細菌の代謝活性レベルは、肝臓と同等と考えられており、第六の臓器とも呼ばれています。

細菌が産生する栄養として、糖、脂肪酸、ビタミン、タンパク質があります。
そのほかに解毒物質も産生します。

このように、ヒトを含めた動物は細菌と「共生」しています。

そのため、どちらか一方が正常の範囲から外れると他方にも大きな影響が生じます。

例えば、下痢の場合には、腸の蠕動運動が亢進し、多数の腸内細菌が体外に排出されてしまいます。

一方、「悪玉」腸内細菌が増殖した場合にはガスが多量に合成され、お腹が膨れます。

また、刺激物質(エンドトキシン等)が産生され、それが原因で発熱になることもあります。

膣用乳酸菌を健康増進や子宮頸がんの予防目的で使用してもよいですか?

健康な女性が使用した場合には、おりものが透明になり、サラサラする効果が報告されています。

ただし、健康な女性に、何等かの予防効果があるかどうかは分かっていません。

なお、現在、子宮がん検診で陽性細胞が検出された女性に対して、乳酸菌にがんの予防効果があるかどうかの臨床研究が実施されていますが、結果が得られるまでには、まだ時間を要します。

結果が発表され次第、ご報告致します。

植物性乳酸菌?・動物性乳酸菌?

花王のラブレという製品の広告で、「植物性乳酸菌」という言葉が頻繁に使われました。

大きな違いは、動物性乳酸菌は糖を栄養素として生きる乳酸菌で(チーズやヨーグルトに多く含まれる)、植物性乳酸菌は糖以外のものも栄養素として生きることが出来るものです(味噌や漬物などの発酵食品に多く含まれる)。

ヒトの腸内には、動物性および植物性の両方の乳酸菌が生息しており、それぞれが役割を果たしています。

一方、女性の膣内は動物性乳酸菌が中心です。

その理由は、生理にみられるように、膣内は常に新陳代謝が起きており、膣上皮の糖が豊富にあります。

そのため、動物性乳酸菌に適した環境となっています。

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